【レビュー】I See You by The XX

今回は英国を代表する3人組The XXが2017年にリリースしたI See Youをご紹介します。

アルバム概要

アーティスト：The XX
アルバム名：I See You
リリース：1/13/2017
トラックリスト：
Dangerous
Say Something Loving
Lips
A Violent Noise
Performance
Replica
Brave for You
On Hold
I Dare You
Test Me

内向的なエネルギーを少し外側に向けた作品

1stアルバムが大絶賛され、アルバムを出す度にその動向が注目されているThe XXですが、このI See Youでは過去2作と違い、少し明るくポップで、時にはダンスフロアを意識したかのようなアップテンポなリズムが見え隠れします。

2ndアルバムをリリースした後、メンバーはそれぞれ別々の道を歩むことになり、音楽学校にて作曲について学んだり、あるいはソロアルバムをリリースしたりと、少し自分自身と向き合う時間が取れたようです。

そのような充電期間を経た後の彼らは少し音楽に対する考え方が変わったのでしょうか。過去の2作の朝もやの中で響き渡るような内向的で美しさを追求するかのような作品とは明らかに方向性が異なっています。

本作の1stシングルとしてリリースされたOn Holdは温かみのある優しい歌いだしから次第にダンサブルなビートが乗ってきてきます。これは過去の彼らからすると大きな変化と呼べるのではないでしょうか。

ですが、決してただのポップやダンスチューンになることなく、演奏の間の取り方などからうまくThe XXらしさを残しつつ曲を展開しています。

On Holdと同様にThe XXの変化が顕著に表れている曲としてI Dare Youもあげられると思います。
この曲も非常にポップなメロディがThe XXらしいミニマルサウンドに乗って届けられますが、そのメロディが本当に分かりやすくてスッと入ってきます。

ロミーとオリバーがそれぞれ交互にメロディを歌った後、2人の声が合わさることでこの曲は最高の盛り上がりを迎えますが、本当にいい曲なんです。

でもポップな変化だけではないアルバム

ここまでは過去のThe XXと比較した際の変化点についてふれてきましたが、それだけではないのが本作の強みだと思っています。
彼らの持つ内向的でスローな味わい深い楽曲も散りばめられています。

特にアルバム中盤のPerformanceやReplicaを聞いていると、過去の彼ららしさがまだバンドの中に残っていることを実感できます。
もし彼らの変化があまりウェルカムでない方も、これらの曲を足がかりに少しずつその変化を味わってみるのはいかがでしょうか。

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