アイスランド音楽はなぜこれほどまでに世界中で人気なのか

今やアイスランド音楽は世界中で人気を博していますが、なぜこれほどまでのムーブメントとなり得たのでしょうか。
実際にアイスランドを旅する中で感じるたことを含めて私なりに記してみます。




独自の音楽性を育んできたアイスランドと日本

アイスランド音楽を考える際に真っ先に思い浮かぶのがBjorkとSigur Rosなのではないかと思います。
実際彼らが有名になるにつれてアイスランド音楽の知名度も高まったことは間違いないでしょう。

アイスランド音楽の特徴を表現するなら、国中に広がる雄大な自然を象徴するかのような美しさと、長く閉鎖的な冬を連想させるもの悲しさ。
こういった特徴を持つ音楽をアイスランドという島国の中で独自に成熟させてきたわけですが、同じ島国の日本も同じようなことが言えるのではないかと思います。

↓ Sóley – Grow

非常にキャッチーなメロディと緻密に計算されたアレンジは日本の音楽特有であり、だからこそ元メガデスのギタリストであるマーティ・フリードマンが日本の音楽は唯一無二と大絶賛しているわけです。

同じように小さな島国の中で独自の音楽性を育んできたアイスランドと日本ですが、世界というフィールドでその知名度を比較するとアイスランド音楽の圧勝ではないかと思います。

 

なぜJ-Popではなくアイスランド音楽なのか

世界を舞台にした際になぜアイスランド音楽が強いのか、私なりの考察を記したいと思います。

1. 圧倒的な人口の少なさが世界を舞台に戦うことを意識させる
アイスランドは人口が約30万人と日本と比較しても圧倒的に少ないです。
そのため、どんなにアイスランド国内で成功を収めようと、獲得できるリスナーは最大で30万人ほどでしかありません。
そうなってくると、近隣のヨーロッパ諸国やアメリカへ舞台を広げようと思うのは自然なことだと思います。
実際に、フライト時間をとってもアメリカとヨーロッパへの移動が比較的容易な位置にアイスランドはありますので、ツアーを行う際にも比較的フットワーク軽くこれらの国を訪れることができるのです。
だからこそ、バンドマンの目線の先には常に世界があり、あくまでそこを視野に入れた活動が行われます。

↓ Oyama – Lung Breathers

一方、日本はまだ1億人以上の国民がおり、日本人だけをターゲットとしても十分ビジネスとして成り立ちます。
だからこそ、ターゲットを日本人に絞った、日本語で喜怒哀楽を歌う曲が日本には多いのだと思います。

 

2. 世界へ進出する際のハードルの低さ
世界で音楽活動を行う上で、やはり英語というのは一つのスタンダードとして身につけておくべきものだと思います。
私もそうですが、日本人は一般的に英語に苦労をする人が多く、その壁が日本人を小さな島国に留まらせる要因の一つになっていることは間違いありません。

一方、アイスランドでは英語を話せることが当たり前となっています。
実際、私がアイスランドを訪れた際にもみんな流暢な英語を話していました。

先日私がレビューしたMammútは、1stから3rdアルバムまではアイスランド語で作詞を行っていましたが、4thアルバムからは世界進出を視野に入れ英語詞へ変更し、ツアー先もアメリカやヨーロッパ諸国をより充実させています。

もちろん作品がよければ言語の壁なんて関係ないという意見に私も同意ですが、この英語ができるかどうかというのは世界で活躍する上で重要なポイントとなるのは言うまでもありません。

↓ Mammút – Breathe Into Me

 

アイスランドという国全体が音楽を後押し

ここまで同じ島国であるアイスランドと日本の対比を通じてアイスランド音楽の特徴を考えてきましたが、
それにしてもアイスランドは人口30万人という小さい国なのに、世界的に有名なアーティストが多く排出されていると思いませんか?
この背景を紐解くきっかけになりそうな出来事がアイスランド旅行中にありました。

↓の動画は私がアイスランドの街中で見かけた子供たち主体のバンドの演奏ですが、こういった公園で気軽に演奏できること、そして周囲があたたかく演奏を見守る姿勢は日本ではなかなか見られないのではないかと思います。
演奏する子供たちも非常にのびのびと気持ちよさそうです。

このように、私がアイスランドで目にしたのは音楽を子供から大人まで愛する姿です。
子供がバンドを組むということにネガティブなイメージを持たず、周囲が全力でサポートしている印象を受けました。

こういった姿勢は小さな街単位だけではなく、国全体の取り組みにも現れています。
近年、音楽ホールHarpaを建設したり、海外を拠点としている音楽フェスをアイスランドに誘致したりと、国をあげて音楽を後押ししています。
先に記載したように人口の少ないアイスランドにおいて、音楽産業は決して無視できないものだからでしょうか。

実際、アイスランド最大の音楽フェスAirwavesの期間中は世界各地から多くの音楽愛好家がアイスランドを訪れています。
このAirwavesは一つの音楽ホールだけが舞台になるのではなく、開催される街のカフェやレストラン、ホテルのロビーまでもがコンサート会場となりますが、ここから生まれる経済効果は相当なものでしょう。
それを国として後押ししない手はないですよね。

↓ Iceland Airwavesの告知動画





 

でも最終的には音楽のよさが共感を呼ぶのでしょうね

これまで私が考えていることをつらつらと書いてきましたが、結局のところその音の素晴らしさが人を惹きつけているのは間違いないでしょう。

BjorkやSigur Rosに代表されるアイスランド音楽はいつだってエレクトロニカ、ポップス、ダンスミュージック、クラシック、ジャズといった複数の音楽を融合させながら革新的な音で聞き手を楽しませてきました。
また、演奏スタイルもシガーロスのバイオリンのボウを利用する奏法など、型にはまらない自由な発想によるものが多いです。

↓ Sigur Ros – Sæglópur

これは、常に良いものを目指し改善を続けることを考えているアイスランド国民の特性が活かされているからだと思っています。
最初はシンプルなロックやポップスであっても、どんどんと改良を重ねいつしか彼ら独自の音楽として形をなすのでしょう。

また、1日のうち数時間しか日が昇らない冬場に音楽に没頭できることがその音楽的な実験性につながったのではないのかとも思います。

そんなアイスランド独自の音楽を、これからもこのブログではご紹介していきますので、ぜひお楽しみに。

↓ Kiriyama Family – About You

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1 件のコメント

  1. ピンバック: アイスランドで改めて考えさせられたアナログ音源との付き合い方 | Pom's Records

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