アイスランドで改めて考えさせられたアナログ音源との付き合い方

以前↓の記事にも書きましたが、アナログ音源とデジタル音源が手に入る昨今、私たちはそれぞれの持つメリットを享受することができます。

アイスランドを旅する中で、アナログ音源との付き合い方についていろいろ思うところもあり記事にしたいと思いました。




アナログと最先端が共存する世界

アイスランドを旅していて思ったのは、お店で音楽を流す際にレコードを使っているお店が多いということ。

一方、日本ではレコードを目にする機会、意外と無いと思いませんか?
少なくともアメリカで生活するため私が日本を発った数年前には、外出先でレコードを聞こうと思ったらジャズ喫茶に足を運ばないと聞けなかったと記憶しています。

それがアイスランドではアパレルショップやカフェをはじめ多くのお店でターンテーブルが当たり前のように鎮座し、レコードが回っている。

実はこの動きはアメリカでも同様です。
レストランへ足を運べばターンテーブルが置かれており、レコードがとまる度お店のスタッフがターンテーブルへ駆け寄るのを目にします。

私がアメリカで生活、あるいは海外を旅する中で感じるのは、こういったアナログな音楽の聞き方が当たり前のように生活の中に根付いている国が意外と多いということ。

アメリカやヨーロッパに対して先進的でお洒落なイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、実はその生活は少しクラシックで、それこそ父から譲り受けたレコードプレイヤーで音楽を聞いているような人が結構います。

 

流行過多とそれに伴う根付きの弱さ

日本では流行の最先端技術をどんどん取り入れ、それをある種ファストファッションのように消費することが当たり前になっています。
昨今のレコードブームもこれに当てはまるのではないかと思います。

しかし、海外、特に私が暮らすアメリカでは先端技術は取り込みつつ、旧きよき生活スタイルを大事にする、そういった生き方が主流です。

日本の流行過多と目まぐるしいスピードでの変遷は、それはそれで楽しく退屈しないのですが、同時に流行で手にしたものたちが生活に根を下ろすことなく過ぎ去っていくことを意味すると思います。

一方、アイスランドでは一過性の流行としてのレコード愛好ではなく、生活スタイルの一つとして深く根を張ったアナログ音源文化がありました。

購入者が音楽産業に貢献しながら、その利益をもとに音楽業界も購入者を楽しませようと試行錯誤をする、アイスランドではこういったいいサイクルが長期的に安定した土台の上に出来上がっているように感じられるのです。

何によってそのようなアナログ意識を持つことになったのか分かりませんが、少なくともその良さを分かった上で安定的に付き合っています。
前回のアイスランド音楽の隆盛記事でも書いたような、国全体が音楽を愛する中でアナログ音源の魅力にいち早く気付いたのかもしれません。

↓前回の記事はこちらからどうぞ。






 

ファッションではなく、もう一歩踏み込んだ付き合い方

今は世界的にレコードやカセットといったアナログ音源の人気に火がつき、じわりじわりとファンを増やしていますが、果たしてその良さを本当に分かって、それこそ10年後も聞き続けている人はどれくらいいるでしょうか。

流行ってて何となくカッコいいから、ではなくもう一歩踏み込んで、レコードが人気な理由ってなんだろうと考えてみると長い付き合いにつながるかもしれません。

よく耳にするのは、MP3音源で聞いていたアルバムを大音量のレコードで聞いてみてはじめて、その音の繊細さを実感できたという話。

まずはジャズ喫茶やロック喫茶でレコードを耳にしながらコーヒーやお酒を飲んでみるのが手軽でいいのではないかと思います。

レコードをウリにしているお店は音響設備にこだわっていて、レコードの良さを100%引き出したいと考えているケースがほとんどです。

マスターと会話をしながら、なぜレコードにこだわるのかを聞かせてもらったり、マスター一押しの曲に耳を傾けるとその魅力に一気に近づけるかもしれません。

そこで何かピンと来るものがあればオーディオセットを購入してみる。

そしてレコードストアを訪れてみる。既にデジタル音源で持っている作品をレコードを買い直すと、アナログとデジタルの違いを楽しめるかもしれません。
あるいは「あのジャケットよく見るけど聞いたことないな…」という名盤を、レコードで聞いてみてはどうでしょうか。

流行の一環として音楽好きな方が、今の領域から一歩外に出ることで音楽の生活への根付きが深くなり、日本の音楽産業も少し元気になるのではないかな、とアイスランドの街角でふと思いました。

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