【レビュー】Trouble Will Find Me by The National

今回はThe National6枚目のアルバムTrouble Will Find Meをご紹介します。

アルバム概要

アーティスト:The National
アルバム名:Trouble Will Find Me
リリース:5/17/2013
トラックリスト
I Should Live in Salt
Demons
Don’t Swallow the Cap
Fireproof
Sea of Love
Heavenfaced
This Is the Last Time
Graceless
Slipped
I Need My Girl
Humiliation
Pink Rabbits
Hard to Find




High Violetというヒット作の後にどんな作品を世に送り出すのか

今回ご紹介するTrouble Will Find Meのひとつ前の作品High Violetで知名度を一気に高めたThe Nationalでしたが、
そんな出世作に続く作品に取り掛かる際にはかなりのプレッシャーを感じてもおかしくないものです。

しかし、High Violetのヒットから自信をもらったのか、The National側はソングライティングプロセスを楽しみながら本作を仕上げた模様。

実際、このアルバムを聞いていても非常にリラックスした雰囲気が漂っていますし、The Nationalの持ち味である大人な渋みもこれまで以上に色濃く出ています。

前作High Violetは比較的ポップな作品でしたが、決してその幻影を追い求めることなく、The Nationalが鳴らせる音を等身大で聞かせてくれます。

本作をリリースした後に「結局The Nationalはこういう曲しか書けないんだよな…」というネガティブな反応もあったようですが、むしろこの音を鳴らせるバンドがThe Nationalしかいないことに気付くべきで、その音をリアルタイムで聞ける事実に感謝をすべきであるとさえ思います。

 
【I Should Live in Salt】

アルバムのオープナーを飾るI Should Live in Saltから安心して聞いていられます。

それはアメリカのインディロック界で長年行き続けてきたバンドだからこその安定感、安心感があるからでしょうか。

この曲はボーカルMattと弟のTomの関係を描いているそうですね。Mattは音楽の世界で、弟は映画監督として活動する中で疎遠になってしまったことに対する後悔や寂しさがあったのでしょう。

「I should live in salt for leaving you behind」というフレーズが、君を置き去りにすることになるなら塩の中で生きる=そうならないように近くにいようという意思表示のように感じられます。

 

【I Need My Girl】

続いて、美しいメロディが心地よい、シングルとしてもリリースされたI Need My Girlですが、歌詞の内容は妻と娘を失うことを想像して書いたと言われています。

    But I am good and I am grounded
    Davy says that I look taller
    But I can’t get my head around it
    I keep feeling smaller and smaller

ですが、聞き手が様々なシチュエーションを想像できる余地を残した歌詞ですので、その時々の自分の心境に合わせて解釈するとこの曲に対する思い入れの深さも変わってくるかもしれません。

 

【Hard To Find】

私がこのアルバムで一番好きな曲、Hard to Findのライブ映像がありましたのでご紹介します。

この曲も何かを失った人々の気持ちを描いているようですが、私には愛する妻を失った男性の深い悲しみを描いているように感じられ、アルバムの最後に切ない余韻を残してくれます。

    I wonder if you live there still
    I kinda think you always will
    If I tried you’d probably be
    Hard to find




決して退屈な音楽などではなく、大人な深みのある音楽

このThe Nationalはアメリカでは音楽チャート上位に食い込むなど人気の高まりを感じますが、日本での知名度は依然高くはありません。

バンドの名前を聞いたことはあるけど…という方は今回ご紹介したTrouble Will Find Meや、その1作前のHigh Violetを聞いてみていただきたいです。

あるいは、2017年秋に発売予定の新作Sleep Well Beastも非常にとっつきやすい作品に仕上がっていそうです。

The Nationalの音は落ち着きのある、言い換えれば退屈なものに感じられるかもしれませんが、実は温もりのある音使いで非常に心に響く歌を歌っています。

それこそ酸いも甘いも経験した、大人の心に寄り添ってくれるかのような名曲たちで成り立っています。

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