【レビュー】OK Computer by Radiohead

先日20周年記念盤のOKNOTOKの限定ブルーレコード版を購入してOK Computerを改めて聞き直していますが、やっぱりいい作品ですね。
ということで、今回は90年代を代表するアルバムのひとつ、RadioheadのOK Computerを取り上げたいと思います。

アルバム概要

アーティスト:Radiohead
アルバム名:OK Computer
リリース:6/16/1997
トラックリスト:
Airbag
Paranoid Android
Subterranean Homesick Alien
Exit Music (For A Film)
Let Down
Karma Police
Fitter Happier
Electioneering
Climbing Up the Walls
No Surprises
Lucky
The Tourist




Pablo Honey, The Bendsでギターロックを聞かせたバンドはどこに向かうのか

今回ご紹介するOK ComputerはRadioheadの3rdアルバムですが、彼らを一躍スターダムへ押し上げた名曲Creepが収録された1stアルバムPablo Honeyと、My Iron LungやHigh and Dryといった名曲が収録された2ndアルバムThe Bendsがそれぞれリリースされています。

これらはドライブの効いたギターサウンドが聞こえてくる、まさにギターロックにカテゴライズしていいアルバムに仕上がっています。

ところが、この3作目OK ComputerでRadioheadの音楽の方向性が大きく変わり始めます。

バンドの音を基盤にしているんですが、そこに大量の加工された音が投入されたことで最高にダークで、アンドロイドのように機械的で、それでいてどこか神秘的な作品が出来上がっています。

確かに2作目のThe Bendsの頃から暗い音を奏でてはいましたが、まさかその部分がここまで堰を切って溢れ出てひとつのアルバムとしてまとまるとは誰も予想していなかったのではないかと思います。

Pablo HoneyThe Bendsの延長線上の作品を予想し、何も知らずに1曲目のAirbagのイントロを聞いたファンは何を思ったのでしょうか。

このような突然の変化に対し、多くの場合その変化についていけず離れていくファンが出てくるものですが、Radioheadの恐るべきところはむしろこのアルバムが大衆に受け入れられイギリスのチャートで1位の座に君臨したという事実。

90年代のカラフルなギターロックがチャートを席巻していたその時代に、無機質でダークな音がトップに君臨したという事実はまさにその後のシーンを変えるきっかけとなったんだろうなと容易に想像できます。

 

一つ一つの曲がすごく個性的で、それでもアルバムとしてまとまっている奇跡的な作品

このアルバム、とにかく暗い暗いと言われていますが、私はそんな一言で表現できるような作品ではないと思っています。

Let Downなんてすごく神々しいくらいの曲調で、曲のラストなんて空から光が注ぎ込んでいるかのようなアレンジ。
(歌詞は虫のように地面に叩きつけられて、というフレーズが出てくる通りとても希望に満ちたものではないですが)

 

Electioneeringなんてアルバム随一のアップテンポな曲で、曲名の通り選挙中だけ善人面する政治家へ向けた皮肉たっぷりの曲に仕上がっています。

 

とはいえどす黒い曲も多いのは事実で、Climbing Up the Wallsなんて家庭内殺人をモチーフにした歌詞に、加工されたボーカルと絶え間ないノイズ、そして4分を経過したあたりからの絶叫。文字で書いているだけでも暗いです。

 

個人的に大好きなのが、コンピューターに歌詞を読ませて収録したFitter Happier。
大衆が幸せに生きるために心がけるべきことを延々とコンピューターに語らせた最後に、そういった生き方をa pig in a cage on antibiotics(抗生物質漬けの檻の中の豚)と一蹴しています。最高です。

こういった様々な曲を1つのアルバムとして詰め込んでいるにも関わらず、ものすごくまとまりのある作品に仕上がっているんですよね。

直前でご紹介したFitter Happierがアルバムの中間に位置し、そこで少しの間が設けられたかのような感覚に陥りますが、それすらもアルバム全体のまとまりを増すための策略的な配置なのでしょうね。

 

2017年に未発表曲を追加しOKNOTOKとして蘇ったOK Computer

冒頭でも少し書きましたが、この作品は今年OKNOTOKという名前でリイシュー版が発売されました。
今回新たに追加されたのは以下の曲たち。
I Promise
Man of War
Lift
Lull
Meeting in the Aisle
Melatonin
A Reminder
Polyethylene (Parts 1 & 2)
Pearly
Palo Alto
How I Made My Millions

正直、クオリティが高すぎてこれをアルバムとして発売しても問題がないと思わせるほど。
ライブで披露されて以来、Radiohead最高傑作と呼ぶ人も多いLiftはさすがのクオリティ。

 

未発表曲だったMan of Warも個人的にすごく好きです。ピアノをバックにしっとり歌っているかと思えばディストーションギターが聞こえてきて、ストリングスも絡み始めて一気に盛り上がりを見せていきます。





このOKNOTOKはリマスター版ということで、1997年に発売されたOK Computerよりも音圧が増している気がします。
発売から20周年が経過した2017年に再びOK Computerが世間を賑わせていますが、もし聞いたことのない方はこの機会に手にとってみてはいかがでしょうか。

↓CDももちろん素晴らしいですが

↓個人的には限定のブルーレコード版をおすすめします。

 

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2 件のコメント

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