【レビュー】How To Dismantle An Atomic Bomb by U2

2004年にリリースされたU2のHow to Dismantle an Atomic Bombを紹介します。

アルバム概要

アーティスト:U2
アルバム名:How To Dismantle An Atomic Bomb
リリース:11/22/2004
トラックリスト:
Vertigo
Miracle Drug
Sometimes You Can’t Make it On Your Own
Love And Peace Or Else
City Of Blinding Lightss
All Because Of You
A Man and A Woman
Crumbs From Your Table
One Step Closer
Original Of The Species
Yahweh
Bonus Track : Fast Cars




 

人気曲のVertigo以後が実は充実してます

このアルバム、1曲目のVertigoはiPodのCMに使われたことからも分かる通り、非常にスピード感溢れるキャッチーなロックに仕上がっています。
アルバム発売前後でラジオでもこの曲が流れていたのを覚えていますが、このアルバムはVertigo以後の曲が実はものすごく素晴らしいのです。

2曲目のMiracle Drugは曲の雰囲気と歌詞の内容が最高にマッチしていてこのアルバムの中で一番好きな曲です。
高校生の頃にこのアルバムをCDショップで買って帰りながら聞ききましたが、この曲の後半に進むにつれて盛り上がりをみせる曲構成に初めて聞いたときから心奪われていました。その後歌詞を読んだらもうノックアウトです。

この曲はMiracle Drugという曲名の示す通り、薬に関連する詞が歌われています。
歌詞のモチーフとなったのはとある作家で、彼は生まれながらに脳性の麻痺を抱え体を動かすことができませんでした。そんな話すことも体を動かすこともできない彼を傍でずっと支えてきたのは彼の母親です。彼女はたとえ彼が体を動かすことができなくても、彼自身の強い意思は彼の中にありいつかそれを表現できるときが来ると信じていました。
そして、それはついに実現します。それは医学の力によって生み出された奇跡のような薬によって。ただ、それは科学の力によってのみ成し遂げられたものではありません。体を動かせない息子の可能性を信じ諦めずに教育を続けてきた母の愛があってこそ。作家として世に作品を送り出せたのは幼い頃から受けた教育の賜物であるのは疑いようもありません。
彼の名はChristopher Nolan、今回のアルバムと直接関係ありませんが、彼の書き留めた作品は一読の価値がありますのでぜひチェックをしてみてください。

曲の方に話を戻すと、先ほど説明したような奇跡の薬が題材となっており、世の中の病気で苦しむ人たちを救いたいというU2メンバーの思いを強く感じられる曲になっています。
この曲の歌詞の一節に次のようなフレーズが出てきます;Freedom has a scent Like the top of a new born baby’s head
私はこのフレーズがものすごく好きなんですよね。自由はどんな匂いがするのか、それは産まれたての赤ん坊の頭のてっぺんの匂いみたいなものさ、なんて凡人にはとても書けないフレーズです。

ぜひ歌詞を読みながらこのMiracle Drugを聞いてみてください。




大切な人との別れについて考えされられる曲たち

感動的な2曲目が終わった後に更に心に響く名曲が待っています。
3曲目のSometimes You Can’t Make It On Your Ownはボーカルのボノが年老いた父を思って歌った曲です。
思春期の頃に母を亡くしたボノは父の手によって育てられますが、彼はボノにとって強くて頑固で絶対的な存在のように感じられたようです。
そんな父が、年老いていくにつれてどんどんその強さを失っていく。そんな父に向かってボノは「もう一人で頑張らなくてもいいんだ、時には一人じゃ無理なことだってあるんだから」と歌っています。
かつて父に反抗し敵対しさえしていた息子が、いつしか父を思いSometimes you can’t make it on your ownと優しく歌っていると思うとグッと来るものがあります。

アルバムの後半に収録されているOne Step Closerもボノが父を思い歌った曲です。
彼の父が死期に近づくにつれて神への信仰心をなくしていったそうですが、そのことを元Oasisのノエルに話したところ「彼は真実に一歩近づいたんだね」と、信仰から解き放たれて人が真理に近づいていくようなニュアンスの言葉を発します。そこからインスピレーションを受けて作られたのがこの曲です。
人が死に逝くときに何を思うのか、残された私たちは知りようもありませんが、死が近づいた父を見て感じ取ったことをOne Step Closerというフレーズと共に書き残してくれました。

ここまで少々しんみりとした内容が続きましたが、このアルバムはこれらの他にもCity of Blinding Lightsといった輝きを感じる曲、Å Man And A Womanといったセクシーな曲調のものまで実はアルバム全体で様々な物語を聞かせてくれます。
私が紹介したのはアルバムのほんの一部ですので、U2がどんなストーリーを聞かせてくれるのか、ぜひアルバムを手にとって皆さんの耳で確認してみてください。

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