【レビュー】Transformer by Lou Reed

今回はLou ReedのTransformerをご紹介します。

アルバム概要

アーティスト:Lou Reed
アルバム名:Transformer
リリース:11/8/1972
トラックリスト
Vicious
Andy’s Chest
Perfect Day
Hangin’ ‘Round
Walk on the Wild Side
Make Up
Satellite of Love
Wagon Wheel
New York Telephone Conversation
I’m So Free
Goodnight Ladies





カラフルな楽曲にロックの詩人が言葉を紡ぐ

このTransformerという作品、David Bowieがプロデュースした作品として有名ですが、音を聞くとなるほど確かにと頷けます。

アルバムの冒頭を飾るViciousなんてイントロからBowieテイスト全開です。

このアルバムを聞いていると、ふとこの曲たちをBowieがカバーしたらどんな作品に仕上がるんだろうと考えてしまいます。
Bowieはこの世を去りそんな思いも二度と叶わなくなりましたが、きっと彼のテイストで歌い上げ素晴らしい作品に仕上げたんだろうなと想像できます。

話は戻ってこのViciousという曲ですが、日本語に訳すと淫靡や変態めいた言葉になるのだと思いますが、確かに歌詞の内容はそれらしいものになっています。

    Vicious, you hit me with a flower
    You do it every hour
    Oh, baby you’re so vicious
    Vicious, you want me to hit you with a stick
    But all I’ve got is a guitar pick
    Oh baby, you’re so vicious

なんとも反応に困る内容になっていますが、これを歌っても様になるのがLou Reedのすごいところ。

彼の「歌う」という表現よりも「語り」という表現がしっくりくる歌い方はなぜこんなにもクールなのでしょうか。

アルバムを代表するこのWalk On The Wild Sideにおける、シンプルなベースのサウンドをバックに語り始めるLou Reedの色気といったら。

ちなみにこのWalk On The Wild Sideという曲、5人の登場人物が出てきて、それぞれのストーリーはTake A Walk On The Wild Sideというフレーズで締めくくられます。

それぞれTake A Walk On The Wild Sideというフレーズが象徴するようにどこかズレたキャラクターになっていますが、冒頭に出てくるHollyなんてマイアミからアメリカをヒッチハイクして横断する中で男性から女性へと変身を遂げていますからね。

    Holly came from Miami F L A
    Hitchhiked her way across the U S A
    Plucked her eyebrows on the way
    Shaved her legs and then he was a she
    She says “Hey babe, take a walk on the wild side,”
    Said “Hey honey, take a walk on the wild side.”

性を意識させる歌詞が多いのは、ゲイを公言したLou Reedだからこそなのかもしれません。
(とはいえ女性と結婚をしていますのでバイセクシャルが正しいのでしょうが)

このアルバムの中には少々差別的な表現が含まれていたりと国によってはラジオ等での放送が規制されたようですが、Lou Reedは自分の感じたものを素直にストーリーに仕立て曲をつけたのでしょう。

Perfect Dayという曲では「サングリアを公園で飲んで、辺りが暗くなったら家に帰ろう」と語るなど、ロックの詩人と呼ばれる所以を感じさせるロマンチックなフレーズも出てきます。

彼の歌詞は非常にシンプルで分かりやすいので、私のように英語が母国語でない人でも彼の言葉を比較的容易に噛み締めることができます。

そういえば日本語の詩もひらがなでシンプルに書かれたものが多いですよね。
装飾をそぎ落とした裸の言葉が実は一番心に響くのかもしれないな、とLou Reedを聞いていると気付かされます。

    Just a perfect day
    Drink Sangria in the park
    And then later, when it gets dark
    We go home




本作がLou Reedの代表作になり得たのはその多彩な楽曲群があってこそ

先ほどから少し歌詞にフォーカスしてきましたが、じゃあ楽曲はイマイチなのかというととんでもない。
既にご紹介した楽曲をお聞きいただいてその素晴らしさを実感いただけたかと思いますが、アルバムの全ての曲が個性的で聞き入ってしまいます。

Hangin’ ‘Roundでは「これぞロック」と呼べるギターリフに乗ってLou Reedが軽やかに歌い上げています。

かと思えばNew York Telephone Conversationという曲ではオルガンの音をバックにコミカルに歌っていますし、この楽曲の多彩さも本作が名作と呼ばれる理由の一つなのでしょう。

元The Velvet Undergroundのメンバーという肩書きを破り捨て見事にLou Reedというロックの詩人に変身を遂げた彼は、本作以降も素晴らしい作品たちを残していますが、それについてはまた後日。

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