【レビュー】V by The Horrors

今回はThe HorrorsのVをご紹介します。

アルバム概要

アーティスト:The Horrors
アルバム名:V
リリース:9/22/2017
トラックリスト
Hologram
Press Enter to Exit
Machine
Ghost
Point of No Reply
Weighed Down
Gathering
World Below
It’s a Good Life
Something to Remember Me By




ダメな自分たちを全て受け止めて再び歩き出したThe Horrors

The Horrorsというバンドは非常に気の毒なバンドだと思います。

デビュー当時はダークなサイケデリックサウンドを中心にシューゲイズ的な音で人気を得ていましたが、4枚目のアルバムLuminousでエレクトロニカのようなビートを前面に押し出した結果セールスは振るわず、いまひとつな結果に終わってしまいました。

こういったアルバム毎の方向性の変化することはDavid BowieやPrimal Screamのように前向きに捉えられることもありますが、ネガティブな反応が返ってくることがほとんどです。

うまくいかなかった例がまさにこのThe Horrorsというバンドですが、私は1stアルバムから彼らの音楽を聞いてきて、その完成度の高まりにいつもワクワクさせられてきました。

とある雑誌のインタビューで「俺らみたいな曲もまともに書けないし、演奏もダメなバンドがチャートのトップ10に入るアルバムを作れただけですごいことだよ」と語っていましたが、周囲がどのような評価をしているのか自覚した上で新たなアルバムを世に送り出してくれた彼らに感謝です。

最新アルバムのV(ヴィ)の音の方はどのような仕上がりになっているのか、発売前から非常に楽しみにしてきました。

というのも、先行で公開されていた3曲がどれも異なるタイプの曲だったためアルバム全体の雰囲気がつかめずにいたからです。

このMachineという曲は電子音がフィーチャーされたインダストリアルロックのような雰囲気を持っており、非常にクールな1曲に仕上がっています。

Something to Remember Me Byでは前作Luminousを思わせるようなダンサブルでキャッチーな曲に仕上がっています。

かと思えばWeighed Downではシューゲイズ的な浮遊感のあるギターサウンドが聞こえてきて、アルバムの全体像はますます見えなくなってしまいました。

いざアルバムが発売されフルで聞いてみた感想は「ダークで美しい」。

インダストリアルロックのもつ耽美さがあり、それこそGary Newmanあたりの暗黒の美学を感じさせます。

ただ、ダークすぎない絶妙なラインで踏みとどまっているのはボーカルFarisの声のおかげではないでしょうか。

彼のセクシーな歌声は初期のゴスロックの時代から高い評価を得ていましたが、今作のような曲調にも非常にマッチしており、ふとした瞬間にシューゲイザー的な儚さを聞き手に感じさせますが、その響きが本当に美しい。

もちろんダンサブルなチューンもありますが、ダンスフロアでノリノリになるというよりは、聞いているうちに自然と体がリズムに合わせて揺れるようなビートです。

これまで荒波にもまれながら試行錯誤を繰り返してきたバンドの最新形がこのアルバムに詰まっていますが、この暗さとスローなビートはThe Horrorsというバンドの最高の相性の良さを見せている気がしてなりません。

先行シングル3曲を聞いてみてピンと来たのであればアルバム全体を聞いてみてください。

購入後間もなくの感想ではありますが、私はGatheringという曲のUK特有のメロディの美しさに耳を奪われ、過去の偉大なバンドの面影を重ねながらついつい何度も聞き入ってしまいました。




ジャケットはJesse Kanda氏の力作

今作のジャケットを見て「なんじゃこりゃ」「グロテスクだな」と思った方も多いかと思いますが、このグロテクスさに見覚えはありませんか?

私はこのジャケットを見た際に↓のArcaのジャケットを思い出しましたが、どうやらその勘は当たっていたようで、どちらも日本生まれで現在Londonで活動中のJesse Kanda氏の作品でした。
(彼の名前は以前から知っていましたが、今回初めてプロフィールを調べて私と彼が同い年ということに驚きました…)

Jesse Kanda氏のグロテスクな美学は今回のThe Horrorsのアルバムイメージにぴったりで、これから始まるツアー用の映像用の作品も手がけてくれたら嬉しいなと思ってしまいました。

Jesse Kanda氏のグロテスクで美しい作品群は以下のURLからご覧いただけますので、もし興味があればチェックしてみてください。
http://www.jessekanda.com/

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