【レビュー】Mirror Reaper by Bell Witch

今回はシアトルを拠点とするドゥームメタルデュオBell WitchのMirror Reaperをご紹介します。

アルバム概要

アーティスト:Bell Witch
アルバム名:Mirror Reaper
リリース:10/20/2017
トラックリスト
Mirror Reaper




ドラマーの死を乗り越えて作り上げた漆黒のドゥームアルバム

このBell Witchというバンドはメタルバンドとしては珍しくベースボーカルのDylan DesmondとドラムボーカルのAdrian Guerraという2名編成にて活動を開始し、現在もその編成は崩さずに活動を続けています。

2人編成でありながらそれを全く感じさせない、地の底から響いてくるような重低音を聞かせてくれていたBell Witchでしたが、昨年ドラムボーカルのAdrian Guerraの他界という悲劇に見舞われます。

2人という最小限のパートで成り立っていたバンドの、そのうちの1人がいなくなってしまうというのはバンドとして非常に大きな痛手となりますが、それでも残されたDylan Desmondは創作活動を諦めず続けてきました。

新たなドラマーとしてJesse Shreibmanを迎えて今作は製作されましたが、それまでバンドの要としてリズムを刻んできたAdrianの穴を埋められるのかとBell Witchファンは期待と不安が入り混じる気持ちで今作のリリースを待ちわびてきました。

メンバーの他界を受けて、前メンバーのテクニックや音と比較されバッシングを受けるケース、新メンバーの個性が強すぎてバンドとしてのカラーががらっと変わってしまうケースも少なくないですが、このBell Witchの新作からはAdrianの意思を継ぎ、Bell Witchらしさに自身の持ち味を過度にならない程度に加えようとするJesseの覚悟のようなものを感じます。

亡くなったAdrianがそれまでに収録していたトラックも用いられたということもあってか、従来の作品と比較してもBell Witchらしさは損なわれておらず、Adrianがこれまで育ててきたBell Witchというバンドがこれまで歩んできた道から未来に向かってさらに飛躍しようとしているのを感じます。

そのAdrianの想いを引き継ごうという意思はドラムフレーズからだけではなく、6弦ベースでバンドのメロディを生み出しているDylanの音からも感じられます。
Bell Witchというバンドはデビュー以来死をテーマにした作品を生み出してきましたが、メンバーの死を受けたBell Witchが奏でる音はどこか悲しみの色が濃くなったように感じられ、ベースラインのひとつひとつがAdrianに向けたレクイエムを歌っているかのようです。

今作Mirror Reaperはトータル80分以上にも及ぶ楽曲が収録されていますが、楽曲数はわずか1曲のみ。
アルバムタイトルにもなっているMirror Reaper1曲で聞き手を80分強のドゥーム世界へ誘ってくれますが、決して中だるみすることなくミドルテンポでヘヴィな闇の世界を堪能させてくれます。

ベースとドラムの演奏を基本にところどころでオルガンとボーカルが乗っかってくるという構成で、過度な盛り上がりはなく、あくまでジワジワと聞き手の意識を侵食していくイメージです。
それこそホラー映画のサウンドトラックを一気に聞くという感覚に近いのかもしれません。

メタルが苦手という方でも、ドラマチックな曲の展開のおかげで比較的聞きやすいアルバムに仕上がっています。特に6弦ベースで奏でる叙情的で泣けるメロディは必聴です。(個人的には15分あたりで演奏されるフレーズがたまらなく好きです)

少しでも気になった方はぜひ今作を手に取り80分の闇の時間をお楽しみください。

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