【レビュー】6 Feet Beneath the Moon by King Krule

今回はKing Kruleの6 Feet Beneath the Moonをご紹介します。

アルバム概要

アーティスト:King Krule
アルバム名:6 Feet Beneath the Moon
リリース:8/24/2013
トラックリスト
Easy Easy
Border Line
Has This Hit?
Foreign 2
Ceiling
Baby Blue
Cementality
A Lizard State
Will I Come
Ocean Bed
Neptune Estate
The Krockadile
Out Getting Ribs
Bathed in Grey




若き天才の歌う闇

Archy Ivan MarshallがZoo Kidで音楽をレコーディングしたのはまだ彼が高校生だった頃でした。

その後、高校卒業を機にKing Kruleへ改名し発表したフルアルバムがこの6 Feet Beneath the Moonです。

私と同年代の方はKing Kruleと聞くとスーパードンキーコングのボスキャラクターを連想する方も多いかもしれませんが、そのキャラクター由来で名前が付けられたわけではないようなので一応補足しておきます。

King Kruleの音楽の特徴として、10代の青年が歌っているとは思えないしゃがれた低い声、ロックからヒップホップ、ジャズとあらゆる音楽を吸収した多様な演奏、それらが組み合わさることで非常にダークでありながら美しささえも感じるような音楽に仕上がっています。

アルバムを通しての雰囲気は非常にダウナーで統一感を感じるものの、ひとつひとつの楽曲は異なる表情を見せてくれます。

Foreign 2のシューゲイズやドリームポップを連想させるサウンド、Ceilingのヒップホップを思わせるスローで気だるい歌、それぞれ違うテイストで楽しませてくれます。

違うジャンルの音楽のはずにもかかわらず、少し聞いたら「あ、King Kruleだ」と思わせる作品に仕上がっているのは、結局のところArchyの歌声のおかげでしょうか。

King Kruleの魅力のもうひとつがその歌詞です。

アルバム全体を通して人との別れを思わせる歌詞が目に付きますが、直接的な表現を避けてそれこそ詩的な表現を多用しています。

私が特に好きな歌詞はNeptune Estateの後半のフレーズです。

    Can you tell that this faith is changed?
    This heart, brain, pain, two separate ways
    Can you tell that this face is changed?
    This heart, brain, pain, two separate ways

音が似ているfaithとfaceという言葉をたくみに使い分けていますが、歌詞の韻や母音を巧みに使い分けるヒップホップの息遣いを感じずにはいられません。

彼の音は正直大人びて10代の青年が奏でているとは思えないものに仕上がっていますが、歌詞から伝わってくるピュアネスや切なさは青年の面影を感じさせてくれます。

ネイティブではない私には英語詞を読んでいても最初はピンと来ないものもありましたが、インタビュー記事などを読みながらそこに込めた思いを読み解くのも非常に面白いものでした。




2ndアルバムも楽しみです

まだ若いKing Kruleはこれからどのような成長を見せてくれるのか非常に楽しみですが、まずは来月発売の2ndアルバムがどのような内容になっているのか待ちきれません。

先行公開されているDum Surferも相変わらずのKing Kruleらしさの感じられる名曲です。

作品のリリースを重ねる毎に、音楽のみならず歌詞の内容を含め更なる深みを見せてくれることでしょう。

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