【レビュー】Reflection Of a Floating World by Elder

今回はボストン近郊を拠点とするバンドElderのReflections Of A Floating Worldをご紹介します。

アルバム概要

アーティスト:Elder
アルバム名:Reflection Of a Floating World
リリース:6/2/2017
トラックリスト
Sanctuary
The Falling Veil
Staving Off Truth
Blind
Sonntag
Thousand Hands




緊張感あふれる演奏に釘付けに

このElderというバンドはアメリカのボストン近郊を拠点とするバンドで、今回ご紹介するReflection Of a Floatingの一つ前のアルバムLoreで高い評価を得ています。

彼らの音はダークで退廃的なストーナーロック・ドゥームロックに分類されることが多いですが、今作Reflection Of a Floatingはヘヴィネスの中にサイケデリックさやプログレッシブロックに通ずる様式美が感じられる作品に仕上がっています。

彼らの楽曲はインストパートが大部分を占め、時折ボーカルも聞こえてきますがあくまで楽曲を彩る楽器として機能しています。

アルバムの冒頭を飾るSanctuaryを聞いていただければ彼らの魅力を耳で感じ取っていただけるはずです。

10分を超える長尺の曲にも関わらず、まったく中だるみすることなく曲の展開を耳で追いかけてしまいます。

それは緊張感あふれる演奏が私たちの耳を掴み、気の緩みを許さないからでしょう。

また、1曲の中で頻繁にその表情を変えてきます。かなり綿密に練りこまれた曲構成も聞き入ってしまう理由の一つです。

もともとボーカル・ギターのNickのギターテクニックがズバ抜けていたためElderというバンドの美しく複雑なフレーズが成り立っていましたが、今作から新たにセカンドギタリストをメンバーに迎えたことによりより複雑で華麗な音を実現させています。

特に楽曲がクライマックスに近づいてからの楽曲の盛り上がりは非常に乱雑に音が絡み合うように見せかけて、よく聞くと絶妙なバランスで各楽器の音が積み重なっていることに気付かされ、その演奏力に言葉を失ってしまいます。

 

3曲目のStaving Off Truthではクリーンなギターサウンドで穏やかに幕を開けたかと思うとスローな音のうねりが押し寄せてきます。

このバンドの魅力のもう一つが強固なリズム隊です。

力強いドラムと地を這うようなベースがあるからこそ暴走するギターサウンドが縦横無尽に駆け回っていたとしても安心して聞いていられます。

静と動、シンプルと重厚さをうまく行き来する音に圧倒されている間に楽曲が終わってしまう、という表現がこのアルバムにはしっくり来ると思います。




これからもラウドで美しいサウンドを期待

Elderがバンド活動をスタートさせた当初はひたすらにラウドでギターリフを重ねたヘヴィネスを追求していたそうですが、バンド自身がそれではだめだと気付き様々な音楽の要素を取り入れていったそうです。

それはKing CrimsonやAnekdotenといったプログレッシブバンドの持つ様式美であり、時には60年代のサイケデリック音楽であったり多種多様。

また、アルバムにコンセプトを持たせているため、非常にまとまりのある作品に感じられます。

例えば今作では大きな家や高価な車などを購入することに躍起になり、消費思想に洗脳され意味のない人生を生きている人々に、その幻想を打ち砕き真に充実した人生を掴むよう促しています。

ただラウドなだけではなく非常に説得力のある演奏力、コンセプトを持ち合わせたバンドはなかなかいません。

次回作でも、今回の高評価を更に上回る音楽を聞かせてくれることを強く期待します。

↓Elderの所属するレーベル/レコードストアのArmageddon Shopについてご紹介していますので、こちらもぜひご覧下さい。

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2 件のコメント

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