プログレッシブロックというジャンルを語る上で避けて通ることのできないバンドPink Floyd。
今回は彼らのAnimalsというアルバムを取り上げたいと思います。
アルバム概要
アーティスト:Pink Floyd
アルバム名:Animals
リリース:1/23/1977
トラックリスト:
Pigs on the wing 1
Dogs
Pigs
Sheep
Pigs on the wing 2
歌詞に込められたメッセージが話題になった作品
Pink Floydの作品では珍しい社会風刺的な歌詞の内容が話題となった本作ですが、作品名のAnimalsの通り曲名に動物の豚、犬、羊があしらわれています。
2017年のRoger Watersのライブでは社会風刺が色濃く出ており、Animalsの楽曲が重要な役割を担っていました。
その様子は以下からご覧いただけます。
さて、アルバムのコンセプトに話を戻しますが、このアルバムはジョージ・オーウェルという作家の小説からコンセプトアイデアを得たようです。
豚は支配階級、犬は知識階級、羊は大衆をそれぞれ意味しており、まさに社会を批判的な視点で捉えた曲名たち。
特にSheepで取り上げられている支配される大衆についての歌詞は、大衆の秘めたポテンシャルと、それを活かすための勇気を持てないがために大衆として一生を終えざるを得ない現実をうまく描いています。
歴史を振り返った際にいつも巨大な権力に反旗をひるがえしていたのは勇敢な大衆たちです。
この歌詞中でも従順に生きている羊たちが、主に尽くしていった先に待っているのはラム肉のカツレツとして調理された姿でしかないことを悟り、Karate( ! )を身に付けて主に目にモノ見せてやろうぜ!とその意気を見せるかのようなストーリーが描かれています。
しかし、歌詞の後半で犬=知識階級が(おそらく主に逆らった結果)死んだことの知らせが飛び込んできて、もし長く生きたいのであればおとなしく家にいて言われたことをしていた方がいいぞと締めくくられます。
いつだって勇敢な英雄の話は美しくて感銘を受けるものばかりだけど、現実にそんなことができるのは一握りの選ばれた人間なんだ、希少だからこそ彼らの功績が歴史の中でまばゆく輝くのだ、と支配される現状に対する不満を持ちつつもそれを受け入れるしかない羊=大衆の気持ちをシニカルに描いています。
バンドとしてのPink Floydを感じる作品
Pink Floydの音楽を聞く際に、私の中ではPink Floyd=壮大な音を届けてくれる音楽集団という認識が強く、いわゆるバンドというカテゴライズがしっくりこないことが多いのです。
しかし、このアルバムについてはPink Floydがバンドであるということをふっと気付かせてくれる作品だと思っています。
1曲目のPigs on the wing 1はアコースティックギターの音色から始まりますが、ここまでシンプルなイントロはPink Floydの中では比較的珍しいように思います。
私がAnimalsをはじめて聞いた際には歌詞の内容をまったく把握していなかったので、このアルバムはかなり爽やかな内容の作品に違いないと勘違いしてしまいました。
この曲の歌詞の正確な意図は分かりませんが、その意を直接受け取ると、犬/豚/羊という枠組みの外にいる第三者がある種無関心気味に社会の不条理について語りかけているような印象を受けてしまいます。
アコースティックな1曲目を終えると、少しさわやかな曲調のDogsへと続きます。
この曲は爽やかで美しさを感じる曲調で始まった後に、途中少し薄暗さを漂わせて終盤に再度明るさを取り戻します。
この曲で特筆すべきはそのギターソロ。
デヴィッドギルモアのギターが曲の雰囲気を壊さないように、でもギターという楽器が主旋律として曲全体を覆いつくすようにメロディを刻んでいきます。
SheepにいたってはPink Floydというバンドがシンプルなロックバンドとしての機能をフルに発揮したといってもいい、個人的に非常に好きな曲です。
序盤こそしっとりとした展開になっているものの、後半に進むにつれてギターの音が前面に出てきます。
エレキギターの音をここまでエッジを効かせて届けてくれるとは、デヴィッドギルモアがロックバンドのギタリストとしての存在感を放っています。
この作品はリリースタイミングがWish you were hereとThe Wallの間ということもあって少々パッとしない印象をもたれている方もいるかもしれませんが、そのメッセージ性の強さを理解して再度耳を傾けるとなかなかに興味深い作品であることに気付かされます。
↓本作を聞いたことのない方はぜひ一度手にとって聞いてみてください。
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